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「そこそこ本格ミステリ 照くん、カミってる! ~宇曾月家の一族殺人事件~」在宅レポ

どうも。

 

結構まめにブログを書いているつもりでいたのだが、前回更新から1か月空いていたことに驚きを隠せない。

 

さて、知念くん主演の舞台「そこそこ本格ミステリ 照くん、カミってる! ~宇曾月家の一族殺人事件~」の配信を見た。この舞台は本来は昨年の春に上演予定だったのだが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い全公演中止、そこから1年経って再演が決まった(再演と言う言い方が正しいかは分からないが…)。東京公演の一部や大阪公演が今年も中止になってしまったが、何とか10日ほどの公演を終えることが出来た。千秋楽は生中継配信もあり、行けなかった人たちも見ることが出来た。舞台は映像化されることの方が少ないので、配信で見られるのは本当にありがたい。私自身、就職活動がどうなるか分からず、申込を泣く泣く見送った舞台だったので、映像ではあるが見られて嬉しかった。

この舞台はジャニオタには割とおなじみの演出家である河原雅彦さんが演出を手掛けた。映画だと嵐主演の「ピカンチ」シリーズや櫻井くん主演の「ハチミツとクローバー」、舞台だと加藤くん主演の「中の人」や濵田くん主演の「市場三郎」シリーズの演出を手掛けた方である。私は以前「中の人」を観劇したことがあり、今回も河原さん演出と言うことで楽しみにしていた。

 

公式サイトに書かれているストーリーは以下の通り。

大学生の能神照(のうがみてる)(知念くん)はミステリ作家の兄・久(ひさし)(キャストは後程)の依頼により、東北と関東の境目にある小さな集落、天狩村(あまがりむら)に赴くことになった。

この村は旧家・宇曾月家(うそつきけ)を中心にまとまっている。十三代目当主・宗八(そうはち)が亡くなり、次期当主は彼の息子・喜八(きはち)(近江谷太朗さん)になると思われたが、意外にも喜八の娘の八菜(はな)(岡本夏美さん)が当主に指名されてしまう。彼女は莫大な権力を妬まれて家族の何者かに命を狙われる。八菜は旧知の久に相談を持ち掛けるが、照は彼の代理で天狩村に派遣されたのだった。
照と同じ夜間学部に通う中年大学生の明智万次郎(あけちばんじろう)(玉置孝匡さん)と共に、嫌々村にやってくる照。そこで彼を待っていたのは、喜八やその妹の貴八子(きわこ)(広岡由里子さん)を始めとする、一癖も二癖もある個性的な人々だった。不穏な空気が漂う中、ついに悲劇が起こる……。

照と万次郎は山間の旧家で起こった殺人の謎を解くことが出来るのか!?

 

登場人物が多いので簡単に整理。

主役のは(顔がいい)大学生で、とにかく面倒くさがり。ストレスで髪が瞬時に伸びる性質があり(変身で髪が伸びるプリキュアか)、常にヘアカット用のはさみを持ち歩いている。

は「石浜慎吾」と言う名前で活動する(多分売れっ子の)ミステリ作家で、以前天狩村を調査しに来たことがある。万次郎と八菜と知り合いで、八菜の依頼の調査を照と万次郎に委託する。

万次郎は波乱万丈の人生を送る好奇心旺盛でとにかく明るい中年大学生。以前天狩村を訪れたことがある。

宗八は6週間ほど前に亡くなった宇曾月家の十三代目当主。彼の遺した遺言が一家の大騒動の火種に。

喜八は宗八の長男。まあ田舎によくいそうなおじさん、って感じ(突然雑になる紹介)。多分女好き。

貴八子は喜八の妹。気の強そうなおばさん。キセルを吸ってる。

夏美長井短さん)は喜八の嫁。ぱっと見夫婦は見えないレベルで若い。ちょっとバブリーな見た目とは裏腹にちゃらんぽらんで何も考えてなさそう。

昭長(あきなが)(伊藤正之さん)は貴八子の婿。婿と言う立場ゆえに一家では地位が低い。

八介(ようすけ)(川久保拓司さん)は喜八の息子。端的に言うとバカで運動音痴のナルシシスト。自分の写真のカバーを付けたスマホで難しそうな言葉を調べては知ったかぶりしている。要するにバカで運動音痴のナルシシスト(2回言うな)。

八菜は戸籍上は八介の妹だが、養子。更に、嘘を見抜けてしまう能力があり、それ故に一家に虐げられている。しかし、宗八の遺言によって宇曾月家の十四代目当主になってしまう。それ以来何者かから嫌がらせを受けており、久に相談していた。なお、自分自身が嘘をつくと眠ってしまう(嘘の程度が大きいほど眠ってしまう時間が長い)。

トヨ(永井若葉さん)は宇曾月家の優しい家政婦。かなり年寄りではありそうだが、電子機器に強かったり、毒蛇の頭を嚙みちぎったりするスーパー家政婦。一家に一人欲しい。万次郎と知り合い。

ミツル(表記が分からない)(中山祐一朗さん)は天狩村の神社の神主。天狩村の重要な文化財なども保管している。宇曾月家とも親交が深い。

三島山本圭祐さん)は宇曾月家の担当弁護士。遺言を預かったり、一家の財産の相続なども行っている。

ヒジカタ(表記が分からない)(シューレスジョーさん)は宇曾月家の殺人事件を担当する、毛利小五郎もびっくりの迷推理を繰り広げるポンコツ刑事。メタ発言が多い。石浜慎吾の大ファン。

カイル(カイルガードさん)は、外国人のおまわりさん。一応巡査だが、本当にそうなのかと疑いたくなるほど見切り発車で頼りにならない。福山雅治のモノマネがうまい。

 

後はオリジナルの用語や設定を簡単に。

先ず宇曾月家には家訓がある。「一族の者に嘘をついたら絶縁」「村人を欺いたらお家断絶」

アマガリカグラ(多分)(表記不明)は夏に行われる天狩村の祭り(多分)。その中に、かつて村の洞窟の八郎穴で相次いで人が死んだ呪いから村を救った「呪いの舞」があるが、この舞は現在封印されている。

 

さて、設定を整理したところで、物語の内容を書いていく。

物語は6週間前の宗八の葬式と遺言発表から始まる。三島が「十四代目当主は八菜」と言う旨の宗八の遺言を読み上げると一家は大混乱。オープニングを挟んで、時系列は現在へ。照と万次郎は天狩村で合流し、宇曾月家へ向かう。そこで、回想シーンを含む状況説明を一家から受ける。その中で、八菜の「嘘をつくと眠ってしまう性質」を軽く実演させられて八菜は眠ってしまう(すぐ起きる)。その後、照と万次郎は温泉に向かう途中で神社でミツルが倒れるのを目撃する。照はお面に仕込まれた蜂蜜から、ミツルはアナフィラキシーショックで倒れたことと、蜂蜜を仕込んだ犯人は八介だと突き止める。拗ねて大広間を出て行った八介を見て、喜八は照と万次郎に帰るよう要求し、2人は牛車で帰路につく。その途中で長い髪の女に遭遇し錯乱したカイルに遭遇。神社で八介の遺体が発見される。(1幕)

ヒジカタとカイルが宇曾月家を訪れるも迷推理を披露して終わる。照は、蛇に噛まれた跡を隠すための夏美の靴下を見て、八菜に嫌がらせをしていたのは夏美だと突き止める(動機は八菜への嫉妬)。一方その頃、貴八子は昭長が投資に失敗し、3000万円と言う莫大な借金を抱えていたことを知り、もめる。八菜と万次郎と共に神社にやってきた照は神社付近に防犯カメラが設置されていることを発見し、トヨと共に八介死亡当日の映像を解析する。そこには死亡推定時刻付近に何かを気にしている様子の八介や錯乱するカイルの様子しか映っておらず、肝心の犯人の姿がなかった。また、付近には足跡がなく、密室殺人状態だったことが発覚する。万次郎は神社にある穴の中にスマホを落としてしまう。穴を探すと、八介のスマホが発見され、トヨはロック解除に取り掛かる。引き続き万次郎は自分のスマホを探すが、穴から手が抜けなくなる。一方その頃、宇曾月家宅では、夏美ではない女と連絡をしていた喜八を夏美が目撃し、喧嘩になる。照と八菜はミツルの自宅へ向かい、呪いの舞について話を聞こうとするが、呪いの舞については外部の者に話せないこと、最近ミツルの自宅が空き巣にあったことしか得られなかった。その頃、ヒジカタとカイルが現場検証をしていると、八介の亡霊が現れ(ミステリとしてありなのか…(笑))、「知るべきものはカグラにある」と告げられる。宇曾月家では、トヨが八介のスマホのロック解除に成功、中を見ると、中には呪いの舞の振付が描かれた書の写真が保存されており、それと照の記憶から、照は呪いの舞の完全版を完コピして見せる(と言う名のスーパーねんちーアクロバットタイム)。封印されていた原因は、呪いの舞に危険なアクロバットが入っていたからで、アクロバットが出来ないミツルが呪いの舞を簡略化して踊っていたことに八介はひどく怒っていた。完全版を自分自身でやってやろうと練習していたものの、八介は酷い運動音痴ゆえにアクロバットに失敗、打ち所が悪くそのまま死んでしまった。要するに事故死であった。

八介の死因も分かりめでたしめでたし、かと思いきや、興味本位で万次郎が枯れ井戸の蓋の穴に手を突っ込みまた抜けなくなってしまい、貴八子に救出してもらう。更に八菜が昭長によって八郎穴に連れ去られるも、昭長は穴から湧いている硫化水素中毒で気を失ってしまう。八菜は一人で何とか脱出を試みるが迷ってしまう。そこに髪の長い女が現れ、八菜を出口へ導く。また、昭長は八郎穴に駆け付けた照と万次郎によって救出され、一命を取り留める。照はこの硫化水素が八郎穴の呪いの正体だと突き止める。照は神社の穴を探すと、1枚の写真を見つける。その写真を見てすべてを理解するも、この事実は八菜にとって残酷なものであり、告げるべきか悩む。その時、神社にある電話に久から連絡があり、「伝えるべきかは自分で悩みな」と告げられる。その電話で火が付いた照は、宇曾月家宅に一同を集める。

しかし、宇曾月家から煙が上がり、一同は外に避難する。その際に井戸の蓋を開けていた貴八子を照が呼び止める。この煙は貴八子を炙り出すために昭長と手を組んで焚いたものであり、火事は起きていなかった。写真に写っていたのは幼いころの八菜と産みの母親であるキムラユキコ(表記不明)(多分一人二役で永井若葉さん)。また、写真の裏には宗八の字で「わが子」と書かれていた。つまり、八菜は宗八の実の娘で、喜八や貴八子との異母きょうだいだった。ユキコは村にやってきた看護師であった。また、カイルや八菜が見た長い髪の女の正体もユキコで、貴八子やかつてユキコに恋していたミツルの助けを受けながら井戸の中でこっそり暮らしていた。照は、万次郎の腕の救出の際に、沢山の鍵の中から瞬時に井戸の鍵を選んでいたことから、貴八子が定期的に井戸を開けているとにらんだのだった。貴八子は本当は八菜を自分の養子にしたかったものの、宗八がそれを認めず、それでも自分の娘のように八菜を気にかけ、八菜がこんなしがらみの多い家族に苦しめられないようにと敢えて八菜にきつく当たり、宇曾月家から追い出そうとしていた。しかし、八菜の出生について、ミツルの家に空き巣に入って写真を見た八介が知り、八介はその事実をミツルの弱みとしてミツルに(蜂蜜お面を含めた)嫌がらせをしていた。八介に逆らえなかったミツルは口外厳禁の呪いの舞の書を見せてしまい、結果的に八介は事故死した(因果応報と言うやつ)。突然出生の秘密を知らされた上に、宇曾月家に残るかどうかの選択を迫られた八菜は酷く混乱し、照に「一生恨む」と吐き捨てて眠ってしまう。つまり、照に感謝していたのだった。

時は流れ、夏。八菜は宇曾月家に残り、ユキコと定期的に面会しつつ、大学を目指しながら当主としての人生を全うすることにした。宇曾月家のひずみを直してくれた照と万次郎を天狩村の祭りに招待した。祭りのメインイベントの呪いの舞を舞っていたのだが、アクロバットに失敗してミツルは首を痛めてしまう。八菜の一言でミツルの代理を務めることになってしまった照が叫ぶ。「めんどくせーーーー!!!」

 

殺人事件、と言いつつ、実は誰も殺害されなかった物語であった。

前半は少しくどいな~と思うシーンが多かった(最初の照と万次郎とカイルのくだりとか)が、八介が死亡して事件解決へと走り始めてからは結構サクサクと話が進んだなと言う印象。あー、でも亡霊のシーンもそんなに要らなかったかな。正直ミステリで死者に命を吹き込んじゃあかん(多分八介と警察ズの出番を増やすためだろうけど)。と言うか八介のあのバカで運動音痴でナルシシストなキャラがあの個性的な登場人物たちのなかでもひと際鬱陶しすぎて、早々に死亡してフェードアウトして良かったと思う、2幕は見やすかったから(小声)

後半はサクサク進んだのはよかったんだけど、(メインが八介の死であるのは分かっているけど、)物語の導入でもある八菜への嫌がらせの犯人が結構あっけなく暴かれちゃったなと。劇中で八菜が嫌がらせに遭うシーンもなかったし、靴下だけで犯人を夏美と決めつけるのは、たまたまあってたから良かったけど、少し弱いかな…って思っちゃった。もう少し八菜が嫌がらせを受けるシーンがあって、そこで証拠を照が掴んで、犯人はあなたでしょ?ってなった方が私的にはもっと納得できたかも。

ストレスで髪が伸びるって設定もなかなかに謎だったな…と言うか、照は面倒くさがりと言う設定だけど、正直いちいち説明を面倒くさがる照の性格が一番面倒くさい説ある。

呪いの舞は完全に知念担のためのファンサービスコーナーだったね(笑) あと、照が喜八を怒らせてしまった時の万次郎の「この顔に免じて許して」みたいなセリフも笑ったわ。JUMP担がJUMPの顔に弱いのばれてるね(笑) 河原さん有難う御座います。さすが、グローブ座の観客層を分かってらっしゃる(笑)

あと、各幕のセット転換にアニメのCM前後であるようなアイキャッチ映像があったのも面白かった。舞台でアイキャッチって新しいな~。まあ知念くんってリアルにアニメキャラみたいだよね。分かる。

と言うか、メタ発言が多い多い。ヒジカタが特に多かったんだけど、八菜を探して照と万次郎が八郎穴に向かうときとかもあったね。1幕の家族会議あたりは面白く聞けたんだけど、後半は少しくどかったと言うか、ちょっと飽きたかも。

あ、そういえば、声と映像のみの出演だった久役は風間俊介くんだったらしいね。パンフレットには載ってるみたい。Twitter検索で「照カミ」って入れるとサジェストに「風間」って出てくるから見学に来てたのかな?と情報を見ようとしたらネタバレ食らいました(アホ)

やっぱり全体的に「中の人」と同じ人が作っている感があったなと。映像の使い方とか、ダンスシーンがあったりとか。あと河原さんはジャニーズ主演作品を多く手掛けているから、タレントの特徴を生かしてファンが喜ぶ要素を入れるのもうまいよね。「市場三郎」シリーズも見てみたいな…。

配信日は千秋楽だったのもあって、キャストさん全員からそれぞれ簡単に挨拶があって、その様子がとても和気あいあいとしていて、知念くんはきっと楽しい現場で舞台を作れたんだろうなって。共演者さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ぜひJUMPのコンサートも見にいらしてほしい。

個人的に八菜役の岡本夏美さんがとてもはまり役だったと思う。あの素直で礼儀正しい一家の末っ子感がよく出てた。あと顔もタイプです(え)。non-noのモデルさんなんだってね。あと昔、平祐奈さんと一緒におはガールもやってたんだと。

八介役の川久保拓司さんの演技、本当にうざかったなぁ~~~~(全力で褒めてる)最後のシーンが亡霊の姿だから、乳首やパンツが透けた格好で知念くんに「いつかこんな格好をするかもしれないよ」って言ってたの笑った。多分ファンよりもJUMPメンバーがそれを許さないと思う(笑)

役で言うとトヨの設定のチートさがフィクションっぽくて良かった(笑) 警察ズより全然有能だったよね。すごく腰が低くて優しいのに、宇曾月家を裏で牛耳ってそうなスペックの高さが好きだった。電子機器に強くて毒蛇の頭を噛みちぎれるスーパーおばあさんが家政婦にいたら心強いわ。

 

そんな感じ。舞台って観劇後結構モヤモヤした感情が残ることも珍しくないんだけど、今作はちゃんと事件が解決するミステリで、家族のひずみもちゃんと直ったから、見終わって凄くスッキリした。色々と大変な中で上演出来て本当に良かった。キャスト・スタッフの皆さん、お疲れさまでした。

 

では。