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どんな宝石より 心奪われたんだ

【ネタバレあり】ミュージカル「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」レポ

どうも。

 

薮宏太くん主演、元木湧くん出演のミュージカル「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」を観に行った。

 

作品のイントロダクションは以下の通り。

 

2020年4月、5月にコロナ禍において開幕を目前に公演中止となった「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」。

キャスト・スタッフの思い、そして観客の皆様の思いを受け再び2022年に上演することが決定いたしました。新たな気持ちで作り上げ、2020年よりさらにブラッシュアップされるこのミュージカルの上演にどうぞご期待ください。

本作は『キャッツ』や『オペラ座の怪人』を生み出した作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『エビータ』『ライオンキング』などの作詞を手掛けたティム・ライスが、まだ学生時代だった頃に初めてタッグを組んで生み出した、両巨匠の原点ともいえるミュージカルです。

イギリス・ウェストエンドで上演された際も好評を博し、1982年のトニー賞にノミネートされました。

旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、波乱に満ちたジョセフの人生が全編楽曲で綴られます。数奇な運命を辿るジョセフの人生に相応しく、ロック、バラード、シャンソン、カントリー、ロカビリー…と、実に多彩で様々なジャンルの楽曲が演奏されます。

天才作曲家がまさに誕生した作品であり、この時代に瑞々しい希望と生きる喜びを与えるミュージカルです。(「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」公式サイトより引用)

 

また、公式サイト記載の物語は以下の通り。

現代のある家。眠れない子供たち(すみません、この日のキャストさんの名前を失念しました…)の前に突然不思議な女性=ナレーター(平野綾さん)が現れて、過去の物語を語り始めます。

それは聖書の物語。ナレーターは子供たちを物語の世界にいざない、夢を見ること、そしてそれをあきらめずに希望を持って生きることの大切さを自身の言葉で優しく子供たちに教えていきます。

カナンの地に住むジョセフ(薮くん)は12人兄弟の11番目で父ジェイコブ(村井國夫さん)が贔屓する一番のお気に入り。ある日、ジョセフだけに父からカラフルなコート(=テクニカラー・ドリームコート)を授けられたが、残る11人の兄弟から妬まれてしまい、策を講じられて奴隷として売り払われてしまった。奴隷となってエジプトで暮らすことになったジョセフだが、持ち前の真面目さで献身的に仕えるうち、主人(芋洗坂係長さん)に信頼されていくように。しかし、主人の妻(栗山絵美さん)から一方的に想いを寄せられたことがきっかけで、投獄されてしまう。牢獄でジョセフは、"夢を読み解く"能力を生かして登りつめていき、ついにはエジプト国王(小西遼生さん)に使える立場になっていたある日、かつて自分を売り飛ばした兄弟たちがジョセフの前に現れて…。

ナレーターと子供たちが物語の世界の中で時に応援し、その運命を見守る中、ジョセフの取った選択は?(「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」公式サイトより引用)

 

続き(2幕)の物語は以下の通り。(以下、ストーリー・演出のネタバレがあります。未観劇の方の閲覧は自己責任でお願いいたします。)

 

(以下、Wikipediaを参照)

ナレーターが迫りくるジョセフの運命を話した。国王は不思議な夢を見たが誰も解説できなかった。獄を出た執事は国王にジョセフの夢を解明する能力について話した。国王はジョセフを呼びつけ、自分を悩ました夢について尋ねた。国王は太った7頭の牛と痩せた7頭の牛という夢と、熟した7つの穂と干からびた7つの穂という夢を見たのであった。

ジョセフは国王が見た夢を、「7年間の豊作のあと7年間の飢饉がくる」と解き明かした。驚いた国王はジョセフをエジプトの宰相に任命し、のちにくる飢饉の対策で大いに手腕を発揮し、ますます国王の信頼を得てジョセフは国王の次にエジプトの最有力者となった。

飢饉はやがて訪れ、シメオン(中山昇さん)らジョセフの兄弟たちが住んでいるカナンの地にも及んだ。ジョセフの兄たちはジョセフを売り、父を騙したことを後悔した。兄弟はエジプトに食糧がまだ残っていると聞いて慈悲および食糧を求めにやってくるが、宰相となったジョセフのことは気付かなかった。ジョセフは彼らに袋いっぱいの食糧を渡して送り出すが、弟のベンジャミン(元木くん)の袋にこっそりと黄金の杯を入れた。そして兄弟たちが出発しようとすると、ジョセフは彼らを呼び止めて杯を盗んだと指摘した。兄弟たちが調べると、ベンジャミンの袋から黄金の杯が見つかった。ジョセフはベンジャミンを強盗であると責めた。罰としてジョセフはベンジャミンを自分の奴隷にしようとするが、ジュダ(日野真一郎さん)ら他の兄弟たちは自らが奴隷になってでもベンジャミンを帰らせ解放してほしいと頼んだ。

ジョセフはその無私無欲と懺悔する様子を見て、ついに自分がジョセフであることを告げ、父親を呼び寄せた。最終的にジョセフは父と劇的な再会を果たし、ここにハッピーエンドを迎えてジョセフはまたカラフルなコートを羽織った。(2幕)

 

観劇した直後の率直な印象は、「ミュージカルよりライブを観たような感覚だった」

先述のように、この作品は全編音楽で構成されており、セリフは曲の間に時々ある程度。つまり、ノンストップで音楽が流れ続け、歌やダンスが繰り広げられる。これは限りなくライブに近い形式だと感じた。私自身ライブが大好きなので、この形式の舞台は非常に楽しかった!特に国王がロックンローラー風でアンコール迄あったのは笑ったね(笑) 国王魂エジプト公演レポ的な。

実は自分の中でミュージカルに苦手な要素がある。それは、どんなにシリアスなシーンでも突然歌い出すところ。劇の性質上致し方のないことなのは承知だが、私はどうしても音楽に"娯楽"の要素を見出してしまい、楽しさ・嬉しさを表現するシーンならまだしも、悲しみや絶望、怒りを表すときに音楽が流れ始めるとどうしても登場人物に対して「この人、ふざけてるのかな」と感じてしまうことがある。

しかし、この作品にはそもそもセリフがほぼ無い。なので、深刻な内容の会話劇の途中で突然歌い出すというような現象が起こりようが無かった。勿論、劇中でジョセフが窮地に陥るシーンはあったが、楽曲が変わることでむしろ作品に緩急を生み出しており、絶望を歌う楽曲が希望に満ち溢れた作品のアクセントにすらなっていた。

あとは、創世記のジョセフの物語の内容をおおまかではあるが把握していたのも、安心して舞台を楽しめた要因かもしれない。かつてキリスト教の学校に通っていたこともあって、ジョセフの物語は何度も耳にしていた。ジョセフが栄光を手にすることや、ベンジャミンが殺されないことを知っていたので、物語の展開が気になるよりかは、純粋に歌やダンス、演出や衣装を楽しむことが出来たと思う。

 

このミュージカルはとにかく明るい!懐かしい芸人さんの名前のようなことを言ってしまったが、公式サイトのイントロダクションにもあったように、この作品はとにかく希望に満ち溢れている。これを観に行く2週間ほど前に、"間"を存分に生かした演出で人間の弱さや負の要素を押し固めたような妙なリアリティ溢れる内容だった「裏切りの街」を観に行っただけに、いい意味で高低差あり過ぎて耳キーンなった(©フットボールアワー後藤さん)

(「裏切りの街」レポはこちら↓)

aishige-mari.hatenablog.jp

こういう、一見「きれいごとだ」と一蹴されそうな内容を底抜けに明るい音楽で全力で表現し、観る者を感動させるのも、エンタメの大事な役割の一つだと実感した。

 

パフォーマンス力が群を抜いていたのはナレーター役の平野綾さん。昨年の髙木くん主演ミュージカル「ブロードウェイと銃弾」で演じていたオリーブのコミカルな演技とは打って変わって、力強く物語を引っ張っていくような演技で、圧巻だった。元々声優さんだったのもあってか活舌が非常に良く、歌詞がとても聞き取りやすかった。全編音楽で構成されている以上、内容の情報は歌詞から得る部分が大きいため、活舌はかなり大事な要素だと感じた。あと超個人的な話をすると、あのアニソンの金字塔の一つである『God knows...』の本家様の歌唱を生で聴けて大感激だった。

ナレーターと男女の子供たちは物語をずっと見守っているという役どころ上、劇中では殆ど舞台に出っぱなしで、この3役はキャストが交代制なのも納得だった。特にナレーターは殆どの楽曲で歌割があり、主役より出番が多かったと言っても過言ではない。私は今回平野さんの方のみを観たのだが、ナレーター役Wキャストのシルビア・グラブさんのバージョンも気になった。

あと、ナレーターと子供たちの舞台の端っこの方での細かい演技がとても面白かった!途中で父がセクシーなお姉さんの誘惑に負けるシーンがあったのだが、そこでナレーターが子供たちの目を「見ちゃだめ!」と隠していたのが個人的に一番面白かった(笑) もし今後観に行く機会があったら、3人の細かい演技にも注目してほしい。

 

元木くんは、実は観に行くまで顔と名前が一致していなかった(少年忍者は管轄外なもので…申し訳ない)。だが、12人の兄弟が出てきた時、すぐにどれか分かった。厳つい顔が多い12人兄弟の俳優陣の中であまりにも一人だけジャニーズ顔だったし、末っ子っぽさも出ていた。ベンジャミンは2幕でジョセフに罠を仕掛けられるという重要な役どころだったが、演技の面ではやっぱりどうしても未熟な部分も目立ってしまっていたなと言う印象。本格的な外部の舞台に個人で出演するのは初めてだったそうなので、今作でも沢山学んでいることはあるだろうし、今後の成長に大いに期待したいと思う!てか高校生ぐらいだと思ってたらもう20歳なんだね…びっくり。青年忍者だ。

 

薮くんは、多分ジャニーズ人生20年で一番はまり役だったんじゃないかな…。すべての作品を観たわけではないけど。だって薮くんはその圧倒的存在感とオーラから、ファンの間では「帝王」と言われ、薮担は「薮帝国の民」と言う身に余る肩書がついていた訳よ。そんな薮くんが、最終的にエジプト国王の右腕的宰相まで上り詰めるジョセフを演じる。ハマらない訳がない。特に、宰相に就任して金色の馬車でパレードをするシーンや、11人の兄弟たちが食糧と慈悲を乞うて高い所にいるジョセフにひれ伏しているシーンは薮担の脳内をあまりにも具現化していて、興奮のあまり血液が沸騰するところだった。「このシーンで興奮しなかった薮担0人説」を今度「水曜日のダウンタウン」で提唱してこようと思う。

そして、とにかく衣装が似合い過ぎ!衣装さんが粋な計らいでテクニカラー・ドリームコートを黄緑色基調で差し色にJUMPメンバーのイメージカラーを入れて下さったそうだ。また、宰相の衣装も個人的に遊戯王みたいで大好き(例え方)。メインビジュアルの白のすしざんまい衣装(言い方)は使わないのかなと思ったら、最後のカーテンコールで登場するという贅沢な使いっぷり。衣装さん、JUMPコンの衣装も担当してくださらないかな。

一つ気になった点としては、歌詞が一部聞き取りにくい所があったことくらいかな(平野さんが聞き取りやすすぎたのもある)。特に低音だと聞き取りにくくなる傾向があった気がする。今後の進化に期待!

 

ライブが好きな方、ミュージカルが実はあまり得意ではない方、「薮帝国」「薮帝王」の概念が分かる方にはぜひ観に行ってほしい作品だった。

 

では。

 

p.s. 余談だが、夜公演開場前に会場付近のカフェでお茶をしていたら、関係者出入口と思しき場所から、少年忍者の川崎皇輝くんともう一人Jr.と思われる男性が出て来たのが見えた。また幕間にふと2階席真ん中を観たら、目鼻立ちがはっきりした長めの金髪の男性がいた。あれは間違いなくA.B.C-Z塚田僚一くんだろう。